なないろ通信

「神道のこころ」(葉室賴昭著)を読んで

筆者は、昭和2年生まれで大阪大学医学部を卒業後、日本で最初にアメリカ式の形成外科を導入された著名な医師である。60歳を過ぎて神職の資格を取られその最高位(試験が大変な難関)を取得した後、最後は奈良の春日大社の宮司になられた。

なぜ医者でありながら宮司さんになったのか。葉室氏は実は藤原氏(藤原道長が有名)の子孫の家柄で、お姉さんが大阪の大きな病院に嫁いでいたために、「医者になって義兄を助けてほしい」と頼まれたため、学習院高等部を卒業したのち、大阪大学の医学部に入学した。
大阪大学の医学部に入学して3ヵ月たったころ肺結核が見つかった。当時は死の病。大阪大学の教授にも「もう難しい」と言われたので母親が東京から使用人を連れてやせ細った息子を迎えに来た。戦前なので本人を戸板に乗せて夜行列車で4人がけの席に寝かされ東京へ運ばれた。
大阪の下宿を出る時、知り合いの社長さんが「可哀想に。せっかく阪大の医学部に入ってこれからという時に」「人間というのは自分で生きているんじゃないんですよ、神さまの力によって生かされているんですよ」と1冊の本を葉室青年に手渡した。
蒸気機関車に揺られて戸板の上で12時間、葉室青年はすることもないのでその本を読んだ。感激して泣きながら読んだそうである。そのうちなぜか元気が出てきた。東京に着くと本人は立ち上がって「元気になったから大阪に帰る」と言ったそうである。母親は「とんでもない」と葉室青年を東京大学の大学病院に連れて行った。ところが診察した東大の教授が「何もないよ。私が保証する。阪大の先生はおかしなことを言うなあ」と言う。
大阪に帰ったが阪大の教授が「おまえ、死にたいのか」とびっくりした。「もう一度診て下さい」とお願いしたが「お前の体は嫌と言うほど見た」という。頼み込んで診察してもらうと、なんと結核が消えていた。葉室青年は「奇跡の人」とあちこちで話をさせられたそうである。

春日大社の宮司さんがウソを言う必要もない。言っても何の得もない。それを本にまで書いておられる。(宮司を10数年勤められたのち平成21年逝去)
この不思議な体験がその後の葉室青年の人生に大きな影響を与える。いったいどうしてこんなことが起こったのか。人間としてどのように生きていくことが真実の幸せなのか。
感動の本です。

院長:阪中明人

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