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江戸時代の教科書「金言童子教」に学ぶ

2017.08.07

江戸時代の寺子屋で使われていた教科書の一つが「金言童子教」である。寺子屋の教科書としては、鎌倉時代から伝わる「童子教」というのがあったが、江戸中期に学者の勝田祐義という人が、新しい教科書として「金言童子教」を編さんした。和漢の金言名句を集めたものである。
例を挙げます。

「天の与うるを取らざるときは、かえりてそのとがを受けるなり」・・・自分の徳となる出来事は天の与える福である。これを怠って徳としないならば、罪を受ける、という意味です。例えば人に自分のことを誉めてもらったときについつい「いいえ、そんなことはないです」と言ってしまいがちですが、それよりも誉めてもらったときは「ありがとうございます」と受け取ったほうがいいということでしょうか。大切なのは、誉められて天狗にならないことでしょう。
「病んでのち薬を服せんよりは、病まざる前によく防ぐべし」これは、解説は不要でしょう。

江戸時代の庶民がこんな教科書で勉強していたからこそ、明治維新のあと日本が一気に先進国の仲間入りをできたのかもしれません。「封建的」と片付けずに読んでみるのも勉強になります。(参考図書:「座右の銘が必ず見つかる寺子屋の人生訓」斎藤孝解説、小学館)

院長:阪中明人