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「ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力」読みました

2017.07.07

帚木蓬生さんの上記の本、とても素晴らしい本でした。その中でいい話がありましたのでご紹介します。著者の帚木さんが九州大学医学部を卒業して精神科の医局に入った時の話です。

「もう四十年近く前、精神科に入局した十名が教授室に呼ばれました。教授は中尾弘之先生でした。雑談の中で同期のM先生が居住まいを正して質問したのは『精神科医として一番大切なものは何でしょうか』でした。

中尾教授の返事は、何と『親切』でした。もっと高邁な言葉を期待していたみんなが拍子抜けしたのは言うまでもありません。それを見て取って中尾先生は言葉を継いだのです。

『米国では“You are kind”というのは最大の誉め言葉です。ですからこれを目指せばまちがいありません』」(一部省略)

心打たれる話です。精神科の世界では共感という言葉がよく取り上げられますが、帚木さんは「この親切こそが、共感への入り口だと確信している」と書かれています。
今後よく考えてみたいです。いい本に出合えました。

院長:阪中明人