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「死にゆく者からの言葉」鈴木秀子著(文春文庫)を読んで

2013.10.27

著書はハワイ大学やスタンフォード大学で教鞭をとられ、聖心女子大学で近代日本文学などを教えられていたが、1977年不慮の事故でいわゆる臨死体験をされている。ゲシュタルト・セラピーの専門家でもある。

臨死体験をされて以降、鈴木さんはまるで呼ばれるように、重症の病人のところに呼ばれるようになりました。そして病人のところで、自然に手が伸びて、その人に触れながら呼吸を合わせ、静かな時を持つのだそうです。心地よい眠りに入る人もいれば、時には、深い心の底から吹き上げる思いを話し続ける人もいるそうです。

この本自体は、その鈴木さんの体験ではなく、青森に住む大原紫苑(しおん)さんという当時60歳を超えた女性の経験を鈴木さんが身近で見聞きして書かれたものです。

大原さんは高校の同窓会長やガールスカウト県支部長、老人ホーム後援会長などもされていますが、鈴木さんと同様に重症の病人のところに呼ばれて話を聞いたり、自宅を開放して悩んでいる人に手を差し伸べています。そのお人柄は本を読んでいただくしかないのですが、素晴らしい人です。涙が出ます。

本の帯に「北海道の町の本屋さんで10年間で3,000冊売れた感動のロングセラー」とありましたが、本当です。私は、200ページの話で涙がボロボロでした。

院長 阪中明人